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工事は秘密裏に計画され、極秘のうちに実施された。工事を受注した複数の独立採算収容所が企業連合を作って現場に新たな独立収容地点を設置し、そこに大量の囚人を送り込んだ。昼夜二交代制の十八時間労働で周辺の森林を伐採したあと、短期間で狭軌鉄道の線路を敷いて、本線から機材と重機を送り込んだ。労働は過酷で、環境は劣悪で、物資は常に不足していた。監督は実現不可能な計画を立てて、ノルマの達成を要求した。監督とその配下の民間人は囚人を残酷に扱った。国境警備隊が囚人の隊列を常に監視し、無断で持ち場を離れる者には無警告で発砲した。脱走者が出ると捜索に軍が動員され、わずかな手当で不眠不休で仕事をさせられた兵士たちは疲労と空腹で不機嫌になり、脱走者をようやく発見すると、まず復讐せずにはいられなかった。脱走者は銃床で散々に殴られてから作業構内に引きずり戻され、首をくくられ、死体は見せしめのために放置された。森林の伐採が進み、線路が目的の地点に達すると、胸に勲章をつけた将校が白衣をまとった技師たちを連れてきた。技師たちはさまざまな計測装置を使ってデータを集め、適切な摘出方法を検討したが、人類の技術では難しいという結論が出た。そこで国家転覆の大陰謀が捏造され、エルフの大魔法使いとその一族が陰謀の主犯として逮捕された。大魔法使いは作業構内に送り込まれ、空間固定の複雑な魔法を使うように強要された。家族を人質に取られた大魔法使いは古い言葉で呪文を唱えた。魔法のすみやかな効果によって、それは計測可能な大きさになった。圧搾ドリルとカッターが壁を切り裂き、強力なウインチがそれを壁から引っ張り出した。クレーンがそれを鉄枠がはまった木箱に移し、狭軌鉄道が木箱を本線へ運んだ。本線では特別編成の貨物列車が待っていた。火を噴く山のふもとで機関車の汽笛が鳴り響き、列車がゆっくりと進み始めた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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