Assault on Wall Street
2013年 カナダ 101分
監督:ウーヴェ・ボル
元海兵隊員のジェームズ・バックスフォードはニューヨークで警備会社に勤めてまじめに働いていたが、妻が難病にかかったせいで医療費がかさみ、医療保険の上限を超えたのでカードを使ったところ、今度はカードの金利が上がり、そこへリーマン・ショックが襲いかかって投資していた不動産デリバティブ関連商品が紙くずに変わり、投資会社からは追加の保証金を要求され、訴訟を起こすつもりが地方検事補には無視され、禿鷹のような弁護士には金をむしられ、住宅ローンが焦げついて家は銀行に差し押さえられ、借金があることがばれて会社からは解雇を言い渡され、絶望した妻はくだものナイフで自殺を遂げ、意を決して軍隊時代のM4を引っ張り出して家を出ると安ホテルを根城にウォール街の観察にかかり、金融関係者を端から殺し始める。
主役がドミニク・パーセル、悪徳金融業者がジョン・ハード、悪徳弁護士がエリック・ロバーツ。製作、脚本、監督がウーヴェ・ボルという三重苦から生まれたにもかかわらず仕上がりは水準に達しており、一定以上の緊張感と集中力すら認めることができる、ということから、ウーヴェ・ボル自身がもしかしたらリーマン・ショックでなにか相当に損をしているのではないか、と疑いたくもなる。あか抜けてはいないものの、ふつうに面白い。
Tetsuya Sato