冒険者
The Adventurers
1970年 アメリカ 171分
監督:ルイス・ギルバート
南米のとある小国で革命が始まり、政府軍は革命の闘士の家を襲って殺戮と強姦を繰り返していた。革命の闘士ゼノスの家でも妻と娘が殺され、革命の将軍ロホの家でも妻が殺され、ゼノスの幼い息子ダックスとロホの幼い娘アンポーラが生き延びる。
革命は成功し、ゼノスは大使としてイタリアに派遣され、ダックスも父親と共にローマに移る。ローマでは男爵で大金持ちの銀行家が支援を約束し、ダックスはブルジョアの師弟を集めた学校に入り、そこで男爵の息子や公爵の息子と友達になり、時が移って成人となり、金持ちの息子とポロをやり、スポーツカーで走り回り、男爵の家で乱痴気騒ぎを繰り広げる。息子が遊んでいる間にゼノスは本国に召還され、今や独裁者となっていたロホ将軍に暗殺されてしまう。現行政府に批判的だと判断されたからであったが、そうとは知らないダックスは父親の葬儀のために本国に戻り、そこで将軍の密命を帯びて反政府勢力と取引をする。反政府勢力はダックスを信じて武装解除に応じるが、もちろんロホ将軍は嘘をついていたので反政府勢力は武装解除に応じた後に虐殺されてしまう。反政府勢力のリーダーも射殺され、その息子はダックスに復讐を誓って闇に消え、ダックスはローマへと戻る途上、乱れた祖国をよくするために資金を獲得しようと心に誓う。だが先立つ小銭もない有様なので友達の紹介でエスコート・サービスの道に入り、金持ちのアメリカ婦人を相手に金を稼ぐ。そうしているうちに世界一金持ちなアメリカ娘スー・アンと恋に落ちて結婚する。ここまでで1時間半。
スー・アンはすでにダックスの子供を身ごもっていたが、突然ブランコから落ちたりするので流産して、さらに二度と子供を産めない身体になってしまう。たしかこのあたりで休憩になり、後半が始まるといきなり5年が経過していて、舞台はニューヨークの上流社会へと移り、ダックスはすでに3度の結婚と3度の離婚を経験し、悪名高いレディキラーになっていた。その噂を聞いたロホ将軍はこの男ならばアメリカから金を絞れると考え、ダックスを本国に呼び寄せてアメリカの海外援助を獲得するように依頼する。
ローマでブルジョアな生活を送り、ニューヨークでは浮名を流して人妻を押し倒していたダックスは、それでも愛国者を自認していたので国のためを思って承諾し、つてを頼って海外援助委員会に接触し、援助の獲得に成功する。委員の妻はローマ時代のお得意であった。アメリカから得た資金は農民のためのトラクターや肥料などの購入に使われる筈であったが、ダックスの知らないところで陰謀が進行し、資金は武器調達に使われていた。ロホ将軍は嘘をついていたのだ。真相を知ったダックスは国へ戻り、反革命勢力と協力して政府軍の武器を奪い、ついでに首都を制圧する。死体の山が築かれ、ロホ将軍はダックスに射殺され、そしてダックスもまた凶弾に倒れ、祖国には新たな独裁者が出現するのであった、というような話でほぼ3時間。
どうしてこんなに長いのかというと、まず余計なシーンがやたらと多い。花とか花火とかファッションショーとか、どうでもいいようなものがたくさんある。それとベッドシーンがやたら多い。なぜかオリビア・デ=ハヴィランドまでがベッドシーンをする。それから恋人同士がデートを始めたりすると「故障ではありません。そのまましばらくご覧ください」モードに入っていって、世にもつまらない男女のじゃれあいが延々と流れたりする。つまりアハハ、アハハと笑いながら走り回って、やったなあコイツぅ、などと小突きあう、あれである。この60年代の悪癖の集大成のようなものを見ているうちに、この頭が空っぽな連中をなんとかして地上から抹殺しなければならないという使命感が湧き起こってくるので、まったく無意味な映画だというわけではない。
冒険者 [VHS]
Tetsuya Sato