2014年5月13日火曜日

マルセイユの決着

マルセイユの決着
Le deuxieme souffle
2007年 フランス 156分
監督・脚本:アラン・コルノー

大物ギャング、ギュが刑務所を脱獄した頃、マヌーシュのクラブをヴァンチュールの一味が襲い、自宅に戻ったマヌーシュをチンピラが襲うが、そこへギュがやって来てマヌーシュを救い、ギャングのジョー・リッチが事件の背後にいることを知り、早速、ジョー・リッチをなんとかしようとしているとジョー・リッチはパリから逃れ、それを言えばギュ本人も指名手配されている、ということでマルセイユ経由でイタリアに逃れる計画を立て、マヌーシュがマルセイユで逃亡に使う足と書類のお膳立てをしていると、ローカル線を乗り継いでマルセイユに到着したギュにジョー・リッチの兄ヴァンチュールが声をかけ、危険なヤマに誘い入れる。ギュの認識としてはジョー・リッチはとんまだがヴァンチュールはまともであったので、ギュはヴァンチュールの誘いに乗って一味に加わり、金塊強奪に成功するが、間もなく警察の罠にはまって逮捕され、新聞報道ではギュがあたかも仲間を売ったかのように書き立てられ、それを知ったギュは仁義を重んじる昔気質のギャングであったので怒り狂って警察から逃れ、周囲の反対を振り切って汚名をそそぐために手段を選ばない行動に出る。
ジョゼ・ジョヴァンニの小説の再映画化。1966年のジャン=ピエール・メルヴィル版は未見。もしかしたらジョゼ・ジョバンニの原作は面白いのかもしれないという気もしてくるし、ところどころになんとなくジャン=ピエール・メルヴィル風の小さな演出が見え隠れするところが面白いと言えなくもないが、全体から言うと平板で、面白みがない。しかも色彩設計がかなり奇妙なことになっていて、主人公とその周辺の場面では画面がセピア色になり、対立するギャングが出てくると赤が強調される。これも見事に失敗しているが、もしかしたらモノクロで撮りたかったのではあるまいか。主人公ギュはメルヴィル版ではリノ・ヴァンチュラが演じているようだが、こちらはダニエル・オートゥイユで、なにやら目をくわっと開いて熱演をしていることはわかるものの、雰囲気がどうにもおとなしいので、いつまで待ってもそれらしい様子に見えてこない。かなりの予算をかけて1960年代フランスの様子が再現されているが、それよりもメルヴィル版のデジタルリマスターをしたほうがよかったのではあるまいか。 


Tetsuya Sato