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「ギュンは巨人に変身した」と所長は言った。「エイリアン・テクノロジーを悪用して巨人になり、羚羊を追う狩人たちを踏みつぶして空へ逃れた。大宇宙の偉大な力がもたらす大いなる調和が乱された。だがわたしにも準備ができていた。いや、覚悟ができていたと言うべきだろう。わたしは空を見上げた。真昼の空に薄っすらと、大宇宙の偉大な力が浮かんでいた。大宇宙の偉大な力はそこからすべてを見ていたのだ。わたしは手を差し上げて、スーツを使う許可を求めた。わたしは許可を与えられた。超高空から機動ユニットが次々に投下されてわたしのからだを包み込んだ。わたしは全長八十メートルの戦闘メカと一体になった。わたしは両手を上げてバッファっと叫んだ。もちろん無意味な掛け声ではなく、プロセスを開始するためのコマンドだ。ロケットモーターの強烈なパワーがわたしの巨体を空へ、さらに大気圏外へと運び上げた。わたしはそこでギュンを見つけた。ギュンが放った光線をかわしながら光子魚雷を発射した。わたしはギュンに致命的なダメージを与えることに成功した。だがギュンの卑劣な攻撃によってわたしのスーツも重大な損傷を受け、兵器システムがダウンした。わたしは肉弾戦でギュンに挑んだ。ギュンの卑劣な反撃がスーツのロケットモーターを破壊した。もちろんわたしも反撃した。ギュンは逃れようと試みたが、わたしは腕をギュンの腕に絡みつけた。わたしとギュンは互いにもつれながら大気圏に向かって落ちていった」
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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