2016年2月17日水曜日

トポス(105) ギュンは邪悪な黒い力の庇護を求める。

(105)
「わたしにはわたしの物語がある」とギュンはいつも話していた。「この物語は波乱に富んでいて、このわたしですら先が読めないことがたまにあるが、それでも可能な範囲で先を読んで、必要だと思えば先手を打つ」とギュンはいつも話していた。「さしあたりの問題は所長とその一味だった。彼らはあきらかにわたしを抹殺しようとたくらんでいた。だからわたしは先手を打った」とギュンはいつも話していた。「わたしは所長の主治医からいつも情報を受け取っていた。そのために大金を使ったことは言うまでもないが」とギュンはいつも話していた。「そうしてもたらされた情報は使った金に見合うほど、十分に興味深いものだった。所長に関する認知療法の記録は所長がいわゆるアブダクションの犠牲者であることを明かしていた。つまり所長は直腸にプローブを挿入されて、エイリアンにコントロールされていたということだ。エイリアンがわたしを狙う理由については、いくらか思い当たる節があった」とギュンはいつも話していた。「わたしは自分が危険にさらされていることを理解した。そしてただちに必要な選択をした。邪悪な黒い力に庇護を求めたのだ。わたしは庇護を必要としていたが、同時にわたしは、自分が必要とされることも理解していた。邪悪な黒い力はもちろんわたしを受け入れた」とギュンはいつも話していた。「言うまでもなく、わたしを必要としていたからだ。邪悪な黒い力は政府が秘匿していたエイリアン・テクノロジーを手に入れていた。そしてエイリアン・テクノロジーを研究して、活用できる有能な人間を探していた。つまりわたしだ。わたしはただちに研究に取りかかった。そして不可能を可能にした」とギュンはいつも話していた。

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