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徴募兵たちの腕が四方から伸びてヒュンを捕えた。ヒュンは酔っ払いの目でギュンを見上げて、もつれた舌を動かした。
「あんた、誰だっけ?」
徴募兵たちはヒュンを抱えて、石から切り出した祭壇に運んだ。手足を縛って祭壇の上に横たえた。ギュンがヒュンを見下ろしていた。ヒュンが再び口を開いた。
「あんた、知ってるぞ」
ピュンが駆け寄ってヒュンの口にぼろを詰め込んだ。ギュンがナイフを取り出して、ヒュンの前髪を切り落とした。同じナイフを横たわったヒュンの胸にあてがった。
クロエは見ていた。クロエは心に強い痛みを感じていた。しかしこの痛みは新たな怒りの苗床になるに違いない。からだの奥から湧き上がるであろう怒りを思って、クロエはまぶたを暗くしながら見守っていた。
ギュンがナイフを突き立てた。ヒュンの心臓に向かってまっすぐに鋭いのナイフを突き立てた。まわしながら引き抜いて、血にまみれたそれをピュンに渡した。ピュンもナイフを突き立てた。ヒュンのからだに向かって二度三度と、勢いよくナイフを突き立てた。
徴募兵たちが歓声を上げた。クロエの合図で督戦隊が前に進み、徴募兵の軍団が荒れ野に向かって進撃を始めた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
「あんた、誰だっけ?」
徴募兵たちはヒュンを抱えて、石から切り出した祭壇に運んだ。手足を縛って祭壇の上に横たえた。ギュンがヒュンを見下ろしていた。ヒュンが再び口を開いた。
「あんた、知ってるぞ」
ピュンが駆け寄ってヒュンの口にぼろを詰め込んだ。ギュンがナイフを取り出して、ヒュンの前髪を切り落とした。同じナイフを横たわったヒュンの胸にあてがった。
クロエは見ていた。クロエは心に強い痛みを感じていた。しかしこの痛みは新たな怒りの苗床になるに違いない。からだの奥から湧き上がるであろう怒りを思って、クロエはまぶたを暗くしながら見守っていた。
ギュンがナイフを突き立てた。ヒュンの心臓に向かってまっすぐに鋭いのナイフを突き立てた。まわしながら引き抜いて、血にまみれたそれをピュンに渡した。ピュンもナイフを突き立てた。ヒュンのからだに向かって二度三度と、勢いよくナイフを突き立てた。
徴募兵たちが歓声を上げた。クロエの合図で督戦隊が前に進み、徴募兵の軍団が荒れ野に向かって進撃を始めた。
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