(108)
|
「ギュンはピュンを盾に使った」と所長は言った。「予想はしていたが、ギュンの執拗さは、あるいはピュンの執拗さは、と言うべきかもしれないが、それはわたしの予想をはるかに超えるものだった。何度倒しても、ピュンは白煙とともによみがえった」
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが乳白色の玉を投げた。
降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「戻れ、ピュン」
ギュンが退き、所長が進んだ。
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが乳白色の玉を投げた。
降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「戻れ、ピュン」
ギュンが退き、所長が進んだ。
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが乳白色の玉を投げた。
降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「戻れ、ピュン」
「一瞬で終わるはずの任務が予想を超えて長引いた」所長は言った。「やがて弾薬が尽きた。味方の損害も無視できない規模になった。わたしは直腸から這い上がる振動に強い怒りを感じ取った。大宇宙の偉大な力は怒っていた。言うまでもないが、ギュンの非道な行為に対して怒っていた。分不相応な力をあやつることで、ギュンは宇宙の平和を、大宇宙の偉大な力がもたらす調和を乱していた。大宇宙の偉大な力は決断を下した。小惑星帯を漂っていた全長四キロの小惑星がコースをはずれた。それは大宇宙の偉大な力が発する強力無比の牽引ビームに導かれて、一直線に地球を目指して突進した」
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが乳白色の玉を投げた。
降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「戻れ、ピュン」
ギュンが退き、所長が進んだ。
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが乳白色の玉を投げた。
降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「戻れ、ピュン」
ギュンが退き、所長が進んだ。
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが乳白色の玉を投げた。
降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「戻れ、ピュン」
「一瞬で終わるはずの任務が予想を超えて長引いた」所長は言った。「やがて弾薬が尽きた。味方の損害も無視できない規模になった。わたしは直腸から這い上がる振動に強い怒りを感じ取った。大宇宙の偉大な力は怒っていた。言うまでもないが、ギュンの非道な行為に対して怒っていた。分不相応な力をあやつることで、ギュンは宇宙の平和を、大宇宙の偉大な力がもたらす調和を乱していた。大宇宙の偉大な力は決断を下した。小惑星帯を漂っていた全長四キロの小惑星がコースをはずれた。それは大宇宙の偉大な力が発する強力無比の牽引ビームに導かれて、一直線に地球を目指して突進した」
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.