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「準備はできていた」とギュンはいつも話していた。「わたしはエイリアン・テクノロジーを応用して新しい種類の武器を作り上げていた。外見は魔法玉に似ているが、概念はまったく異なっている」
ギュンはその乳白色の玉を所長に向かって投げつけた。
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが叫ぶと玉がはじけて煙が上がり、煙の下からピュンが姿を現わした。狩人たちがピュンを狙って発砲を始め、所長もピュンに狙いをつけてミサイルや殺人光線を発射した。ピュンは倒されるまでハンマーを振るって狩人のうちの三人を倒した。蜂の巣にされて血を撒き散らしながら倒れると、ギュンが手を上げてもう一度叫んだ。
「戻れ、ピュン」
ピュンが倒れた場所で煙が上がり、乳白色の玉がギュンの手に戻った。
「わたしはこれを、カプセル兵士と呼んでいる」とギュンはいつも話していた。「いまはまだ、一つのカプセルに一人しか入れることができないが、研究を進めれば一個軍団を収容することもできるようになるだろう。個人が軍隊を携帯できるようになる。誰でも、いつでも、そしてどこでも、戦争を始めることが可能になる。形勢が不利になったら、戻れと言うだけで撤退できる。しかもカプセルに戻れば損傷が自動的に修復される仕組みになっている。これは画期的な発明だ。戦争の概念そのものが、大きく変わることになるだろう。戦争という、言わば国家の占有物をわたしは人民に解放したのだ。わたしの名前は必ずや、歴史に刻まれることになるだろう」とギュンはいつも話していた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
ギュンはその乳白色の玉を所長に向かって投げつけた。
「頼むぞ、ピュン」
ギュンが叫ぶと玉がはじけて煙が上がり、煙の下からピュンが姿を現わした。狩人たちがピュンを狙って発砲を始め、所長もピュンに狙いをつけてミサイルや殺人光線を発射した。ピュンは倒されるまでハンマーを振るって狩人のうちの三人を倒した。蜂の巣にされて血を撒き散らしながら倒れると、ギュンが手を上げてもう一度叫んだ。
「戻れ、ピュン」
ピュンが倒れた場所で煙が上がり、乳白色の玉がギュンの手に戻った。
「わたしはこれを、カプセル兵士と呼んでいる」とギュンはいつも話していた。「いまはまだ、一つのカプセルに一人しか入れることができないが、研究を進めれば一個軍団を収容することもできるようになるだろう。個人が軍隊を携帯できるようになる。誰でも、いつでも、そしてどこでも、戦争を始めることが可能になる。形勢が不利になったら、戻れと言うだけで撤退できる。しかもカプセルに戻れば損傷が自動的に修復される仕組みになっている。これは画期的な発明だ。戦争の概念そのものが、大きく変わることになるだろう。戦争という、言わば国家の占有物をわたしは人民に解放したのだ。わたしの名前は必ずや、歴史に刻まれることになるだろう」とギュンはいつも話していた。
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