Noah
2014年 アメリカ 138分
監督:ダーレン・アロノフスキー
カインの末裔が地にあふれて悪事を広め、信仰はメトシェラの系統にのみ残されていて、メトシェラの信仰を継ぐノアは荒れ野で家族とともに暮らしているところで啓示を受け、メトシェラの助言を受けて種をまいて森を生むとゴレムの助けを得て方舟の建造に取りかかり、ノアの行動に気づいたトバル・カインは方舟を奪うために軍勢を集め、ノアが準備を終えると雨が降り注いで大地に洪水を引き起こし、ゴレムは方舟を守るためにトバル・カインの軍勢と戦い、洪水によって軍勢を失ったトバル・カインは単身、方舟にもぐり込んでノアの子ハムを裏切りに導き、ノアの真意を知ったノアの家族はノアに与えられた使命を阻むために抵抗する。
ノアがラッセル・クロウ、その妻がジェニファー・コネリー、セムの嫁がエマ・ワトソン、メトシェラがアンソニー・ホプキンス、トバル・カインがレイ・ウィンストン。
アイスランド・ロケの荒涼とした世界を背景に話が進み、まずノアが核家族として現われ、メトシェラは独居老人として登場する。家族の規模は大きく後退して孤立感が強調され、信仰の正体はあいまいになり、いまどきの映画なので人類見殺しのためには信仰ではなくて狂信が要求されることになるらしい。洪水のあとでノアが酒浸りになり、裸で引っくり返るのはおそらく狂信の反動として位置づけられていて、それはそれで納得がいくが、核家族化したノアの一家はあきらかに無用の問題を抱え、方舟で陰謀が進行し、殺人までがおこなわれるということになってくると、ついていくのが難しくなる。視覚的にはいろいろと面白い要素を備えているし、ジェニファー・コネリーは熱演しているし、エマ・ワトソンもけっこうな存在感を発揮しているし、ということでいちおうの見どころはあるものの、陰惨なもくろみに対して正直すぎるせいで居心地が悪いし、正直なところを言えば気味が悪いだけ。
Tetsuya Sato