2010年 日本 99分
監督:吉田恵輔
百瀬(30歳)と佳代(29歳)のカップルが同棲している部屋へ佳代の妹、桃(15歳)が夏休みのあいだ滞在し、百瀬は桃のなれなれしい態度に接しているうちに次第に桃に引き寄せられ、桃が実家へ帰ると百瀬は桃の留守電にしつこくメッセージを残しながら佳代との関係解消を宣言して部屋を出るので佳代は事実上のストーカーと化して百瀬を追い、神出鬼没で百瀬の生活を脅かしてから百瀬の前で自殺未遂を演出して病院へ運ばれてそれを最後に百瀬の前から姿を消し、百瀬は桃を求めて桃の実家に接近し、そこで桃と桃の男子同級生と遭遇して同級生からストーカーとなじられて袋にされ、そこでようやく自分のばかさ加減に気がつくと、桃の実家は佳代の実家でもあったので目の前に佳代が姿を現わし、佳代の愛情過剰を見せつけられて佳代との関係修復を思い至ったところでまた桃の男子同級生が現われて百瀬のストーカーぶりを非難する。ちなみに桃もまた東京を訪れたときに学校の先輩を追いかけるので、主要登場人物三人がなんらかの形でストーカー行為をしていたことになる。
百瀬と佳代のキャラクターの立ち上がりがやや遅くて(あるいはこちらの理解が悪いのか)序盤でやや戸惑いを感じたが、人物造形がはっきりしてくると映画の動きが見えてきた。こまかなカットを重ねることで事実上の三重ストーカーという構成を破綻なく収めており、ところどころに感心できる演出もあって水準の作品には仕上がっているが、惜しむらくは周辺人物がうまく消化されていない。
Tetsuya Sato