In Her Shoes
2005年 アメリカ 131分
監督:カーティス・ハンソン
姉は法廷弁護士で、すでに三十を過ぎていて、容姿容貌に自信がなくて、自分の食欲と太ることを警戒していて、自分自身の存在証明については社会的な関係に強く依存している。妹は二十代の後半で、容姿容貌にしか自信がなくて、読書能力と計算能力に障害があり、安易な男性関係に流れる習性があって、嘘つきで手癖が悪くて、どんな仕事をしても長続きしない。
姉がトニ・コレット、妹がキャメロン・ディアス。
姉はずべ公の妹を重荷に感じているし、妹は淡々とずべ公をしながらどこかで劣等感を抱いていて、傍目には仲が悪いように見えても実は姉妹の絆は強かった、という話に祖母、父親とその後妻、会社の上司、同僚、たくさんの犬などが出入りする。
心に軋轢を抱え、迷いを抱いた現代人の再出発を定式に浸して作ったような気配も見えるが、カーティス・ハンソンの語り口は心地よく、キャメロン・ディアス、トニ・コレットが魅力的で最後まで飽きさせない。主人公姉妹のプロフィールが手際よく紹介されたあと、姉妹は喧嘩を始めて姉は仕事から離れ、妹は東海岸を南下していく。南下していった先にマイアミがあり、ここで姉妹の祖母としてシャーリー・マクレーンが登場するのだけど、このおばあさんとそれを囲む老人軍団がなかなかにすごい。みんな死にかけているので、人間が成長できるなどとはかけらほども信じていないらしい。劇中でははっきりとした言及がないものの、姉妹の父親のフェラー氏はユダヤ系で、二人は非ユダヤとの結婚でできた子供で、フェラー氏はその後、ユダヤ系の後妻をもらっていて、という設定になっているみたい。
Tetsuya Sato