The Weather Man
2005年 アメリカ 102分
監督:ゴア・ヴァビンスキー
立派な家庭人である上にピューリツァー賞受賞作家で全米から尊敬を集めているロバート・スプリッツェルの息子デヴィッド・スプリッツはシカゴのローカル局のお天気キャスターで24万ドルの年収があるが、気象予報士ではなく、学位もなく、お天気キャスターだという理由からなのか、町中で知らないひとにファーストフードをぶつけられている。そして妻ノリーンには離婚され、家と子供の養育権は妻に奪われ、妻は新たな結婚相手を見つけようとしていたが、スプリッツ本人は別れたその妻にまだ未練たらたらで復縁の機会を狙っている。そして十五歳の息子マイケルは薬物中毒の治療でカウンセリングを受けていたが、カウンセラー(男性)はマイケルに危険な視線を向け、十二歳ほどの娘シェリーはふてくされている上に肥満して、親に隠れてタバコを吸っている。そのような状況でスプリッツは全米ネットの「ハロー、アメリカ」のオーディションを受け、人生を取り戻そうとたくらんでいる。
中年になってしまうと自分をほめることは難しくなり、ひとにほめてもらうことも少なくなり、気がついてみると自分の人生に足を取られ、我を張ろうとすれば、ただもうまわりと間が悪くなるだけ、というのはある意味、実感がある。苛立って四文字言葉を叫び続けるニコラス・ケイジはなかなかにいい味を出していた。ゴア・ヴァビンスキーの語り口はたくみで飽きさせない。周辺の人物、特に妻ノリーンの造形が少々単純すぎるようにも感じられたが、主人公デヴィッド・スプリッツの視点に固着しているせいだろうか。
Tetsuya Sato