Airport 1975
1974年 アメリカ 107分
監督:ジャック・スマイト
小型機のパイロットが飛行中に心臓発作を起こし、コントロールを失った小型機は乗客を乗せて飛行中のジャンボジェットに接触する。接触した場所がコクピットであったためにジャンボは飛行クルーを失って操縦不能の状態になり、やむなくチーフ・スチュアーデスが地上の指示にしたがって操縦桿を握り締める。これがカレン・ブラックで、くわっと目を見開いているのでちょっと怖い、というのが公開当時の評判であった。怖いとは言ってもそれで着陸ができるわけではないので、このスチュアーデスの婚約者がヘリコプターに乗り込んでジャンボジェットの破損したコクピットに接近し、副操縦士を吸い出した穴から乗り込んで操縦を引き継ぐ。こちらがチャールトン・ヘストンで、いつもと同じ演技をしているだけなので、これは別に怖くない。
与えられている状況がかなり単純なので、それほど発展しないのである。そのかわりにグロリア・スワンソンがグロリア・スワンソンの役で乗っていたり、リンダ・ブレアが腎臓病患者の役で乗っていたりと、乗客にバリエーションをつけて時間を稼ごうと試みている。ジャンボジェットのモックアップはどこかリアリティを欠いているし、低空飛行をする場面では同じフィルムを繰り返して使っているような気がしてならない。『大空港』の続編のような位置づけにはなっているが、『大空港』に比べると構想自体に軽さが否めないし、すでに公開当時からわたしはこのジャック・スマイトという監督を信用していなかったので、この出来の悪さには格別の疑問を感じなかった。MH-53がおそらく映画初登場で(空軍仕様のHH-3)、この雄姿と重々しい飛びっぷりは記憶に残る。
Tetsuya Sato