2013年9月8日日曜日

レニングラード攻防戦

レニングラード攻防戦
Blokada: Luzhskiy rubezh, Pulkovskiy meredian
1974年 ソ連 185分
監督:ミハイル・エルショフ

レニングラードの学生アナトーリが医学生ベラを追って避暑地を訪れ、ベラがそれを迷惑に感じていたころ、ドイツ軍がロシアに侵攻、レニングラードへ戻る列車はドイツ軍の空襲を受け、列車を脱出したアナトーリとベラは森へ逃れ、アナトーリは車内で知ったチェキストから秘密の任務を授けられ、ベラは自分がアナトーリへの愛を拒んでいたことに気がついてアナトーリに愛を告白するが、そこへドイツ軍が現われてベラに襲いかかり、捕虜となったアナトーリは尋問を受けるが、チェキストの指示どおりにふるまったことで釈放されてひとりレニングラードを目指す。一方、レニングラードではヴォロシーロフ将軍の指揮下、防衛線の建設が始まり、路上に立って地雷の敷設を指揮する工兵隊の少佐は撤退してくる将兵につらくあたるが、工兵あがりの政治委員はそれをいさめ、そうしていると敗残の部隊とともに北上してきたアナトーリが現われ、アナトーリはレニングラードの自宅に戻り、建築家の父親からベラの所在を尋ねられると狼狽して言い訳し、父親は息子に背を向けて義勇軍に志願、義勇軍の政治委員をつとめるベラの父親に娘の消息を伝え、偵察に出た工兵少佐はドイツ軍降下猟兵の攻撃に出会い、負傷してひとりで森に残されるが、そこへ義勇軍の一団が現われ、そこに軍医として勤務するベラに救われる。ドイツ軍は間もなくレニングラードの市街地に到達、ヴォロシーロフは解任されてジューコフが新たな司令官となり、その指揮下にロシア軍は北上するドイツ軍を食い止めるので、損害に耐えられなくなったドイツ軍は前進を中止し、レニングラードの包囲を決定する、というところまで。
ドイツ軍侵攻の報告を受けて悄然とするスターリン、という珍しい場面が登場する。あのパイプが机の上に転がって葉をこぼしているといった場面もあり、スターリンのネガティブな描写がたまに見える。ヒトラーはあまり似ていない。ジダーノフはちょっと似ている。ジューコフをやっているのは『ヨーロッパの解放』と同じミハイル・ウリヤノフ。
映画のほうは四部構成のうちの第一部と第二部をまとめたもので、レニングラードの包囲戦が始まるまでの状況を扱っている。戦闘シーンにそれほどお金がかかっているようには見えない(ドイツ軍の車両はかなり変)が、戦時下の混沌とした雰囲気は出ているし、周辺人物もそれなりにうまく処理されている。



Tetsuya Sato