2013年9月3日火曜日

シー・ホーク

シー・ホーク
The Sea Hawk
1940年 アメリカ 122分
監督:マイケル・カーティス

16世紀末。スペイン国王フェリペ二世はヨーロッパ支配への野心を抱き、その邪魔者となる英国を無敵艦隊によって撃破しようとたくらんでいる。一方、エリザベス女王はスペインの国力の前ではいかなる抵抗も無力であると吹き込まれ、有益な警告に耳を貸さない。だが私掠船船長ジェフリー・ソープの獅子奮迅の働きによってスペインの陰謀を知り、国防のために国民を指揮するのであった、というわけで、スペインはドイツでフェリペ二世はヒトラーなのである。
マイケル・カーティスの演出は中盤でやや勢いを失うが、全体の仕上がりはていねいであり、見どころの多い作品になっている。ストーリーにはサスペンス、ミステリー、ロマンス、アクションの要素がいずれもほどよく織り込まれ、エロール・フリンのチャンバラ場面はスピーディーで張りがあり、英国の私掠船とスペインのガレー船との戦闘も原寸大のセットとミニチュアを巧みに使って迫力がある。ガレー船のセットがすばらしい。エロール・フリンは持ち味を生かしていい雰囲気を出しているが、出演陣でおそらくいちばんの見どころはフローラ・ロブスンのエリザベス女王であろう。女性的でちゃめっ気があり、同時に政治家としての顔も備え、この多面性のあるキャラクターを表情の端々に実にうまくにじませている。



シー・ホーク [VHS]
Tetsuya Sato