2013年9月19日木曜日

633爆撃隊

633爆撃隊
633 Squadron
1964年 イギリス/アメリカ 101分
監督:ウォルター・E・グローマン

ドイツ軍がロケット兵器を開発し、ロケット兵器に使う固形燃料の工場がただ一つノルウェーに存在することがレジスタンスの報告で判明し、その工場がフィヨルドの奥にあって攻撃の難しい場所にあり、ただ工場がひそむ絶壁の上にはとてつもなく巨大な岩があって、その岩を攻撃すれば崖が崩れて工場が埋まることになるであろう、と予測した英国空軍は岩を崩すための地震爆弾を秘密裏に開発し、モスキート(爆撃機仕様)で編成された飛行隊から休暇を取り上げて秘密裏に訓練をおこない、レジスタンスの指揮官がゲシュタポに逮捕されて拷問を受けると秘密がもれるのを恐れてゲシュタポ本部の上空にモスキート(爆撃機仕様)を送って爆撃を加え、ついに決行の日を迎えて出撃すると、レジスタンスの指揮官がすでに口を割っていたのであろう、対空砲火を排除するはずのレジスタンスは待ち伏せにあって全滅し、生き残った者は待ち伏せだ待ち伏せだと騒ぎながらレジスタンスの隠れ家までドイツ軍を誘導するので隠れ家にいたレジスタンスも根こそぎにされ、いったいどうやったのか、すみやかにその事実を知った英国側は飛行隊の隊長に作戦中止の許可を与えるが、飛行隊の隊長はゲシュタポ本部に爆撃を加えて捕えられたレジスタンスの指揮官を殺害した本人であり、またレジスタンスの指揮官のブロンドの妹と恋仲で、出撃にあたってはその妹からいつまでも待っていると告げられていたので作戦中止などは論外であり、部隊を率いてノルウェーに近づき、超低空でフィヨルドに侵入して対空砲火の弾幕を浴び、それをかいくぐってフィヨルドを進み、急上昇して大きな岩に爆弾を投げつけ、編隊の残りがあとに続き、一機また一機と撃墜され、一つまた一つと爆弾が岩で爆発し、ついに岩が壊れて崖が動き、ドイツ軍の工場は崩れた崖の下敷きとなる。
飛行隊の隊長がクリフ・ロバートソン、レジスタンスの指揮官がどうやってもノルウェー人には見えないジョージ・チャキリス。駄作である。モスキートを実機で四機用意して、それが崖すれすれを本当に飛ぶ場面は見ごたえがあるし、航空シーンのいくつはなかなかにいい具合になっているが、冗漫な話に音楽を流しっぱなしにして、思いついたように転調を加えて勝手に盛り上げ、とりあえずそれでいいことにするという演出はほめられたものではない。コクピットはセットを一つだけ作ってカメラを固定したまま使いまわしているし、ノルウェーの場面はイギリスのその辺の田舎道にもみの木を並べただけという有様で、あまりにも安っぽいので、これはもしかしたらクリスマスシーズンのあとに撮影してもみの木も安く上げたのではないかと疑いたくなる。もちろんフィヨルドも真っ赤な嘘で、おそらくはスコットランドかどこかの入江であろう。安っぽさを気にせずに見ていられるような映画ではない。 

Tetsuya Sato