2013年9月9日月曜日

レニングラード 900日の大包囲戦

レニングラード 900日の大包囲戦
Leningrad
2009年 ロシア/イギリス 110分
監督・脚本:アレクサンドル・ブラフスキー

1941年の秋、ドイツ軍の包囲下にあるレニングラードへ外国人を含む記者団が視察に訪れ、そのなかのひとり、英国籍を持つケイト・デイヴィスが爆撃に巻き込まれて行方不明となり、ロシア軍当局は捜索ののち、ケイト・デイヴィスは死亡したと報告する。ところがケイト・デイヴィスは生きていて、仕事熱心な婦人警官ニーナ・ツヴェトコヴァに救われて空港へ運ばれるがモスクワへ戻る飛行機を逃し、書類をなくしている上にすでに死亡報告が出されているということで見つかれば面倒に巻き込まれる可能性もあり、仕事熱心な上に親切な婦人警官ニーナ・ツヴェトコヴァの部屋に転がり込み、亡命スペイン人の書類を与えられてレニングラードで生活を始める。話はおおむねラドガ湖の氷結まで。このかん、ケイト・デイヴィスは飢餓で死につつある市民と接し、自らも飢餓に苛まれ、闇市を歩き、人肉食を目撃し、最後に脱出を経験する。
ミラ・ソルヴィノは熱演しているが、婦人警官を演じたオルガ・スツロヴァという女優のほうが目立っている。ガブリエル・バーンはモスクワにいて気をもんでいる新聞記者、アーミン・ミューラー=スタールはドイツ軍北部軍集団のレーブ元帥で、どちらも出てくる意味があまりない。監督は『ストームゲート』の脚本を書いたアレクサンドル・ブラフスキーで、包囲下のレニングラードの悲惨な状況の細部に加え、包囲しているドイツ側、モスクワ、イギリスにあるヒロインの実家、さらにはヒロインの出生の秘密、それを知って気負い立つNKVDと欲張ってあれやこれやと盛り込んでいるが、あまり整理できていない。
とはいえ、比較的低予算でありながらやるべきことも含めて一式やる、という姿勢は評価できると思うのである。いわゆる戦闘シーンは冒頭だけ、ロシア式の腰までしかない塹壕でロシア軍が苦戦をしているとそこへ仕事熱心で親切な上に勇敢でもある婦人警官ニーナ・ツヴェトコヴァが伝令のかわりに現われて指揮官に突撃を要求し、それなら応援をよこせと指揮官が言うと応援なら連れてきましたということで単なる民間人をぞろぞろと引き入れ、勘弁してくれという顔の指揮官が部下を連れて突撃すると三号戦車、四号戦車とおぼしき戦車に支援されたドイツ軍が現われてロシア軍を殲滅にかかるので、逃げ出す義勇兵を仕事熱心で親切な上に勇敢でもある婦人警官ニーナ・ツヴェトコヴァがピストルを振り上げて督戦するのである。仕事熱心で親切な上に勇敢でもあり、事実上できないことがなにもない婦人警官ニーナ・ツヴェトコヴァはこのあと鉄塔の上にのぼって偵察もする。

Tetsuya Sato