2013年9月2日月曜日

レジェンド・オブ・サンダー

レジェンド・オブ・サンダー
Gun Powder,Treason and Plot
2004年 イギリス 201分(TV)
監督:ギリーズ・マッキノン

なんだか壮絶な邦題がついているけれど、原題は『火薬、反逆、そして陰謀』といったところで、前半はスコットランドの女王メアリ・スチュアート、後半はガイ・フォークスの火薬陰謀事件を扱ったイギリスのテレビドラマである。
前半100分(1561-1567): 夫フランソワ二世の死後、女王としてスコットランドに帰国したメアリは新教派とカトリック派の対立に遭遇し、自らはカトリックとしての立場を選び、それはそれとして英国貴族ダーンリ卿ヘンリー・スチュアートと結婚する。ところが初夜の時点でこれがどうしようもないろくでなしであったことが判明し、メアリは枕を涙で濡らし、以来、夫ヘンリーは飲んだくれ、メアリの忠臣ボスウェル卿はメアリへの野心を隠そうとしない。一方、王権を独占するメアリの態度が気に入らないメアリの異母兄ジェームズ卿はことあるごとにイングランドへ渡ってエリザベス女王に注進し、メアリ打倒をたくらんで様々な陰謀を持ち帰る。その陰謀によってメアリの秘書リッツィオが殺害され、反乱が起こり、反乱は鎮圧され、メアリは男児を出産し、ボスウェルはメアリの愛人となってヘンリーを殺し、そのことでメアリは売春婦と呼ばれ、また反乱が起こり、メアリは逃げ場を失って投降する。
後半101分(1587-1605): 成人したメアリの息子はスコットランド王ジェームズ六世となってデンマークから王妃を迎え、納得ずくの愛情のない結婚生活を築いた結果、たいした波乱もない様子で立派なこどもを3人ももうけている。とはいえ妻は貧困を嘆き、イングランドの王位継承権を持つ夫はイングランド王となった日には金持ちになると約束する。やがてメアリが処刑され、エリザベス一世が死去するとジェームズ六世はイングランドで即位してジェームズ一世となり、ところが蓋を開けてみるとイングランドは対スペイン戦役で国庫を空にしており、その上、エリザベス女王の葬儀でも費用がかさみ、ロンドンはペストに見舞われるので、議会は国王の支出を認めない。そこでジェームズ一世はカトリック教徒に対して庇護を約束していたにもかかわらず、財産没収を目的にカトリックを弾圧、怒ったカトリック教徒は傭兵ガイ・フォークスを呼び寄せ、ウェストミンスター宮に爆薬を仕掛けて議会もろとも国王を爆殺しようと計画する。
全体に低予算だし、時代考証はいいかげんだし、場所によっては話がひどく駆け足だし、前半と後半で妙な具合にタッチが違うし、特に後半では登場人物が生い立ちや所信をカメラに向かって語り始めるという一種の反則技が使われているが、結果としてはそれなりに面白い。前半はエリザベス女王がほとんど宇宙猿人ゴリと化して次から次へと陰謀を放つあたりが楽しいし(というか、本当にそのまんまだったらもっと面白かったのだが)、後半はロバート・カーライル扮するジェームズ一世が、やっぱり、というか、一種のコメディ演技になっていて、そのテンションの高さだけでも十分に楽しめる。



Tetsuya Sato