S7-E25
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魔女
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昔むかし、海と空の向こうの国の昼でも暗い森の奥に恐ろしい魔女が住んでいた。魔女は子供を捕まえると生きたまま釜で茹でて脂を取り、その脂をからだに塗って笑いながら空を飛んだ。魔女が近づくと牛の乳が酸っぱくなり、豚の肉に蛆が湧いた。鶏は卵を産まなくなり、羊は皮膚病に冒された。麦は立ち枯れ、頼みの根菜類までが虫に食われて全滅した。怒り狂った人々が鋤や鍬や斧を手にして魔女を滅ぼすために出かけて行ったが、一人残らず冷たい石に変えられた。請願がついに王に届いて王とその軍勢が魔女を滅ぼすために出動したが、全員が冷たい石に変えられた。暗い森は人間の姿を写した石でいっぱいになり、村人は村を捨て、畑を捨てて逃げ出した。打ち捨てられた村の上を魔女が飛んだ。甲高い笑いの声を響かせながら、一直線に飛び越えていった。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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