S6-E20
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酒
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宴がたけなわを迎えた頃、女主人は女中をやって酒の残りを調べさせた。女中が戻って酒の残りが少ないことを伝えると、女主人は親戚の女に事情を話して追加の酒を得る策を求めた。休日なので店は戸を閉ざしていたし、近所を回って得た酒はすでに客に出していた。もはや手がない。女主人がそう言うと、親戚の女は案ずることはないと請け合って、客の中にいた息子を呼んだ。そして息子に追加の酒を確保するように命じると、息子は仲間とともにどこかへ出かけていって追加の酒を運んできた。運ばれてきた酒を見て、女主人は喜んだ。まるで奇跡が起こったようだ、と言ったので、親戚の女は激しく首を振り、その言い方ではまるで異教徒のようだ、とたしなめた。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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