S7-E01
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血族
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ランタンを高くかかげると、いくつもの陰気な顔が暗がりに浮かんだ。肖像画が並んでいる。代々の当主だ、と彼は言った。時代によって服装は違っていたが、どの顔も彼によく似ていた。歳頃も同じで、意外なことに老けた顔が一つもない。歳を取ると姿が変わる、と彼は言った。激変する、と彼は言った。呪われた血のせいで人間とは思えないような姿になる、と彼は言った。それがどんな姿か、見てみたいと思わないか。彼はわたしに向かってそう言ったが、わたしに即座に首を振った。うなずいたら、ろくなことにならないような気がしてならなかった。見せてやれるのに、と彼は言った。こいつらがどんな姿になったかを見せてやることができるのに、と彼は繰り返した。こいつらがいまどんな姿でいるのかを、地下に閉じ込められたまま、死ぬこともできずに獣のように餌を食らって、虚空に向かって何百年も吠え続ける、こいつらのあさましい姿を見せてやることができるのに。彼は叫ぶような調子でそう言って、ランタンの炎を吹き消した。
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
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