Las brujas de Zugarramurdi
2013年 スペイン 114分
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
息子の養育権を元妻シルビアに奪われたホセは面会日に息子を巻き込んで貴金属店へ押し入り、仲間とともに金の指輪多数を強奪することに成功するが、逃走手段に手違いが発生したことでタクシーをハイジャックすることになり、妙に協力的な運転手の手柄で警察の追跡を振り切るとフランスを目指して北上するが、事件の知らせを聞いたシルビアがそのあとを追い、担当警部二人がシルビアを追い、そうしているうちにタクシーはバスク地方に入って魔女狩りで噂の高いスガラムルディの村へ迷い込み、一本道でヒッチハイクをしていた中年女性を拾って家に送り届けたところ、そこはすでに魔女の巣窟で、いつの間にか裸に剥かれた息子が口にりんごを押し込まれてオーブンにいるところを見たホセは息子を奪い返して脱出するが、戦利品を詰めた鞄を魔女の館に忘れたことに気づいて取りに戻り、鞄を見つけたところで本性を表わした魔女たちに一網打尽にされ、やがて数百人とも思える魔女の大集団が謎の儀式に取りかかり、フェミニズム的観点から男性優位性を否定し、男性優位にもとづく文明を滅ぼすために古代の母を呼び出しにかかる。
序盤の強盗シーンから快調で、テンポの速いダイアログは気が利いていて、現代スペイン男たちがスペイン男とも思えないほど現代的に腑抜けなら、田舎の魔女たちは魔女ぶりを半端なく発揮して壁を走るわ天井を歩くわ空を飛ぶわ、捕まえた男どものからだをちぎることなど屁とも思わぬ残忍さで、そこへ古代の母が地響きを立てて登場すると、その造形のすさまじさに見ているこちらも尻込みする。力作であろう。ホセの元妻シルビアをやっていたマカレナ・ゴメスがどこかで見た顔だと思ったが、スチュアート・ゴードンの『ダゴン』で触手美女をやっていたひとであった。これはやはり向こう側の風貌をしている、ということか。
Tetsuya Sato