Rush
2007年 アメリカ/ドイツ/イギリス 123分
監督:ロン・ハワード
ジェームズ・ハントとニキ・ラウダのF3時代に始まる確執からそれぞれが背負う背景と決定的な気質の違い、F1時代における両者の対抗心と1976年のキャンペーンにおける一連の事件を時系列に沿って配置している。
ロン・ハワードの演出は愚直なまでに古典的で、ときおり見える生理的な描写を除けば目新しさも派手さもないが、現代では見ることができなくなった格闘技のようなF1の様子を丹念に再現することに集中していて、そのこだわりは確実に結実しているように見える。ダニエル・ブリュールのニキ・ラウダのいかにもと言えばいかにもななりきりぶり、クリス・ヘムズワース扮するジェームズ・ハントの、いかにもと言えばいかにもな表現もこの映画の古典的な作法のなかでは魅力を放っていると言うべきではないだろうか。あれやこれやと余計なことを考えながら、意外なほど素朴なところで感動している自分にちょっと驚いている。