Riverworld
2003年 アメリカ 97分 TV
監督:カリ・スコグランド
スペースシャトルの事故で死んだ宇宙飛行士ヘイルは水中で目覚めて怪しい光景を目撃し、浮上して自ら出ると見知らぬ場所にいる。ヘイルの後からも水中から続々とひとが現われ、その誰もが死んだ経験を持っていて、死んだ時代も場所も違う。
恐ろしいことにフィリップ・ホセ・ファーマー『リバーワールド』の映像化。
ただ全人類が一度によみがえるのではなくて、少なくとも十年くらいのスパンで順番によみがえっているらしい。だからウマにまたがった蛮族のようなものがすぐさま出現し、サム・クレメンスのリバーボートは進水を間近に控えている。聖杯などの設定はそのまま登場するものの、リチャード・バートン、ジョン王などは登場しないし、肝心な川が視覚的にほとんど重要視されていない。蛮族は間もなくネロ(ネロとも思えないほど戦闘能力が高い)に乗っ取られ、サム・クレメンスのグループとことごとに対立するのが話の主軸になっていて、その対立に多くの時間を割いた結果、相当に奇想天外な設定はいつの間にか投げ出されてしまう。十九世紀的な人物が十九世的な科学思考でなんでもやり、そこへからむ歴史的な人物が歴史的ないかがわしさで性懲りもなくなんでもやる、という原作の前向きな雰囲気はこのテレビ映画にはどこにもない。凡庸で退屈なだけ。
Tetsuya Sato