1971年 アメリカ 109分
Le Mans
監督:リー・H・カッツィン
ル・マンの24時間耐久レースをドキュメンタリータッチで描く。レース場を目指して集まってくる観光客、野宿をしてレースの開催を待つ観客、渋滞、警備のための警官隊が出動し、救急医療施設では準備が進み、場内アナウンスはル・マンの歴史を語り、鼓動の高鳴りとともにレースが始まる。おそらくは全編の半分以上を占めるレース場面がたいそうな見ごたえである。余計なドラマはないし、今様に激高して仲間をどつくレーサーもいない。レーサーはひたすらに淡々としているし、メカニックは空にかかった雨雲をじっと見つめているし、女たちはサーキットに静かに目を落としている。ある種の思いきりの結果ではあるが、これは傑作と呼ぶべきであろう。
Tetsuya Sato