Nochnoy Dozor
2004年 ロシア 115分
監督・脚本:ティムール・ベクマンベトフ
その昔、光の種族と闇の種族がとある橋の上の出会って戦闘に入り、戦いの様子を眺めていた光の種族の王が、ああ、実力は互角だ、このままでは共倒れだ、と気がついた。そこで光の種族の王は闇の種族の王に休戦を申し入れ、以来、光の種族はナイト・ウォッチを立て、一方、闇の種族はデイ・ウォッチを立て、相互監視システムの下で均衡を保っている。そうしていると現代のモスクワにとてつもなく呪われた女が出現して均衡を破りかけるので、光の種族の戦士たちは呪いの原因を取り除くために走り回り、一方、闇の種族の王は別口で均衡を破るためにひどく迂遠な画策をしている。
セルゲイ・ルキヤネンコの原作は未読。後半、やや舌足らずになるが、映像表現の面では独特のセンスが発揮されており、その成果はなかなかに魅力的で見る者を飽きさせない。対立構造は『アンダーワールド』に似ていなくもないが、こちらはいずれの陣営も人間に混じって日常生活を送っており、そのせいでわびしい生活感がどこまでも追いかけてくるし、光と闇がアパートのおむかいさん同士だったりして、適当に馴れ合っているような場面がある。特にこの善と悪がいまひとつ割り切れない、というアイデアは非常にうまく生かされていると思うのである。というわけで悪はさしあたり目的を達するものの、悲嘆に暮れる光の戦士にみずからの頬を差し出して殴られるにまかせたりするあたりがロシア的で奥が深い。
Tetsuya Sato