Beyond the Limits
2003年 ドイツ 107分
監督:オラフ・イッテンバッハ
女性記者がとある墓地を訪れる。管理人から死者にまつわる話を聞いて面白い記事にまとめるためであったが、請われた管理人は死んだばかりの男について話し始める。それはダウニングという名前の男で、この男はパトゥーチという男からある物を受け取る手筈になっていたが、いくら待ってもそのパトゥーチが現われない。それというのもパトゥーチに対して憎しみを抱くギャングのジミー・レヴィンソンという男がパトゥーチの女房を殺し、パトゥーチはジミーの追及を恐れて自殺していたからであった。そこでダウニングがジミーの家を訪れてパトゥーチの荷物の所在を問い質すが、ダウニングはジミーとその一味に捕えられて殴られる。さて、ジミーはダウニングを始末するために始末屋モーティマーとその相棒を家に呼ぶが、このモーティマーはパトゥーチの親友で、パトゥーチ本人から死の直前に復讐の依頼を受けていた。モーティマーはジミーとその仲間のそれぞれの脚に手際よく弾丸を撃ち込み、その場に居合わせたジミーの女房どもと一緒に縛り上げ、ビニール袋、ワイヤー、ハンマー、ピストル、ナタなどを使って拷問を加え、一人また一人と殺していく。するとジミーは隠したコカインの所在を明らかにし、モーティマーはコカインを吸入して盛り上がり、隙を見せて女房の一人に殺される。するとそこには死んだ筈のパトゥーチが現われ、モーティマーを殺した女房を殺し、ショットガンでジミーを殺し、コカインを我が物にして家から出てきたところを勝手に逃げ出していたダウニングに殺される。ところでダウニングがボスのために探していたのはコカインではなくて箱の中に収まって赤く輝く心臓で、それが何かというと話は変わって15世紀のヨーロッパ某所、時の教会に異を唱えた修道院長ジェームズ・フリンは弾圧を嫌って偏狭に逃れ、信仰者たちとともに祈りの生活に励んでいたが、そこへ教会の手先デミング師が兵士を率いて現われて、信者たちを虐殺し、フリン師を捕えて城へ連れ去る。このときデミング氏はフリン師の教会から木箱を回収するが、ここに収まっていたのが赤く輝く心臓で、実はこれがベリアルの心臓なのであった。悪魔を崇拝するデミング師はフリン師に拷問を加え、フリン師が作成した魔道書の訳を手に入れようと試みるが、高潔な心を持ったフリン師は最後まで拒んで焼き殺される。そこでデミング氏は魔道書の挿し絵を頼りに復活の儀式を進め、村の娘たちをかどわかしては生け贄に捧げ、死体は森に捨てて異端者の仕業ということにして、配下の士官デニスを捜査のために派遣する。デニスは高潔な心の持ち主で、その恋人アナベルも高潔な心の持ち主であったが、どちらも婚前に性的な交渉をおこなっていて、そのことで恐れの気持ちを抱いていたが、それはそれとしてアナベルはデミング師の右腕となって悪事を働くトム・ブリュースターに狙われていた。そしてブリュースターはデニスの不在中にアナベルの家を訪れ、アナベルの父を殺し、アナベルをかどわかしてデミング師に渡す。事実を知ったデニスは城を訪れてブリュースターと対決し、一方、デミング師はベリアル復活の儀式のためにアナベルのからだに剣を向ける。
話がどこへ転がっていくのか、まるでわからない映画なのである。ただ、それが楽しいわけではない。
Tetsuya Sato