Lepa sela lepo gore
1996年 ユーゴスラビア 108分
監督:スルジャン・ドラゴエヴィッチ
少数のセルビア人兵士がムスリム勢力に追い立てられてトンネルで立ち往生している、という状況を中心に戦火のボスニアをコラージュし、兵士たちの断片的な回想を軸にチトーの死から戦争までを概観する。例によって交戦相手には知人がいるし、犠牲になるのは家族や隣人であり、恨みは増幅されてとめどを失い、西欧のマスコミは事実をゆがめるつもりでやってくる。 "Let's go" "Why not" という台詞を自然にしゃれで取り込めるほど文化的な連中が内戦を戦っていた、と思うと、なんだかとても悲しくなる。ところどころみ現われるコミカルな演出や、歴史的な文脈のなかで語ろうとする試みはクストリッツァの『アンダーグラウンド』を思い起こさせる。自由に回想を挿入した大胆な構成は必ずしも成功していないが、記憶にとどめるべき作品であろう。