Project X
2012年 アメリカ 87分
監督:ニマ・ヌリザデ
本人の父親に言わせるとどうやら負け組に属しているトーマス・カブの17歳の誕生日を祝うために友人のコスタがパーティを計画し、つまりクイーンズにいたころにはそこそこにいけいていたにもかかわらず、パサデナでは負け組に入っていることが当人としてはどうにも解せないコスタがこれを機会に存分に不純異性交遊をしようとたくらんで、数を撃てば当たるであろうという判断のもとに50人を上限にするというトーマス・カブとの約束を破って可能な限りに声をかけ、メールを送りまくり、インターネットで宣伝し、ラジオでも宣伝して、ということをしたので、両親が旅行で不在となったトーマス・カブの家にはぞろぞろとひとが押しかけてきて大音量をかけて踊りまくる、酒を浴びる、マリファナを吸う、プールに飛び込む、トーマス・カブの愛犬を飛び立たせる、不純異性交遊のたぐいにふける、というようなことを始めるので夜半前に近所から苦情が出て、通報を受けて警察がやってくるとみんなで裏庭に集まって息をひそめ、警察が立ち去るとまた騒ぎ始め、エクスタシーをアルコール飲料で流し込んでハイになり、パーティはトーマス・カブの家からはみ出して路上に広がり、コスタが連れてきた中学生のセキュリティにはとても手に負えないような状況になり、上空には報道のヘリコプターが飛来し、再びやってきた警察は飲んだくれたパーティ参加者によって撃退され、騎馬警官を含む応援の警官隊が出動し、SWATが出動し、コスタにエクスタシーを奪われた謎の男が火炎放射器をかついで現われて一帯を火の海に変え、爆発が起こり、警官隊が発砲し、阿鼻叫喚の騒ぎになり、家は半焼し、旅先から帰ってきたトーマス・カブの父親はこれだけの乱痴気騒ぎをやらかした息子の度胸を称賛し、それまでは誰の目にもとまらなかったトーマス・カブはいまや学校のヒーローになる。
おおむね中盤からは延々とパーティが続くだけ、という映画だが、不思議なくらいにテンションが高い。場面のつなぎがよくできていて飽きさせないし、POVの使い方もうまくてどんちゃん騒ぎのなかにいるような気分になる。キャラクター造形もいちおうまとまっているし、セキュリティ担当のこどもやご近所などがなかなかにいい味を出していた。冒頭、決して真似をしないでくださいという警告のあと、パサデナの市民と警察にご迷惑をおかけしましたという謝罪文が出てくるけれど、これはたぶん冗談であろう。
Tetsuya Sato