Transit
2012年 アメリカ 88分
監督:アントニオ・ネグレ
男女四人組が現金輸送車を襲って400万ドルを奪い取り、警察の検問をくぐるために家族旅行中の一家の車に目をつけ、その車の屋根に積まれた一家の荷物に奪った400万ドルを紛れ込ませ、まんまと検問を突破すると、家族連れの車に襲いかかって400万ドルを取り戻そうとするが、追いかけているうちに家族連れの車のほうがスピード違反で警察につかまり、スピード違反だからすぐに解放されるであろうと期待して待っていると、問題の一家の父親は仮釈放中の身で、しかも制限時速を大幅に超えていたということで判事の審理が必要になり、父親は警察に留め置かれ、母親と二人の息子はモーテルに泊まり、しびれを切らせた強盗一味が母親の部屋に押し入ると母親は果敢に行動して部屋から逃げ出し、警察が呼ばれて一味は逃げ出し、翌朝、再び旅を始めた一家のあとをつけていくと、車の屋根から札束が見つかった、ということで、夫が不動産詐欺で服役したことですでに信頼を失っていた妻は夫がまたしても犯罪に走ったと決めつけて夫と現金を残してその場から去り、残された夫は札束の詰まったカバンを抱えて沼沢地に踏み込み、母親と二人の息子は追いかけてきた一味につかまり、一味は母親と二人の息子を人質に取って父親を探し、父親は金と引き換えに家族を要求する。
冒頭の現金輸送車襲撃の場面では短いショットと短い台詞ですばやく状況を説明し、以降、焼けつくような真夏のルイジアナを舞台に緊張感を持続させていく。演出の水準は高く、父親の不始末のせいで崩壊した一家が強盗との戦いをとおして家族のきずなを取り戻す、という非常にシンプルなプロットに家族、強盗双方の心理状態をたくみに織り込んでいる。ジム・カヴィーゼルは満身創痍の父親を熱演していた。
Tetsuya Sato