G.I. Joe: The Rise of Cobra
2009年 アメリカ 118分
監督:スティーヴン・ソマーズ
軍事企業MARSはNATOの予算をさんざん使って自社の工場で開発したナノマイト搭載弾頭四発を世界征服に悪用するためにかなり苦労して奪い取り、手始めにエッフェル塔などを破壊してみせるが、秘密部隊G.I.ジョーによってやっぱり野望を阻まれるので、秘密組織コブラを立ち上げて復讐を誓うが、そのときにはすでに檻に入れられている。
で、これが、いや、なんというのか、おもちゃ箱をひっくり返したような映画になっていて、飛行機はなんだかもう飛行機だし、潜水艦はなんだかもう潜水艦だし、秘密基地はこれ以上はないというくらいに秘密基地だし、という感じで、見ているこちらは思わず童心に帰って、おもちゃの飛行機を手につかんで、ぎゅいーんと飛ばしているような気分になってくる。理屈抜き、とはこのことであろう。だから余計なことを考えてはいけない。発信機のスイッチが都合よく入ってしまうのは、事実上「ぼくが入れておいたから」なのである。登場人物の回想シーンも子供が子供部屋の真ん中でフィギュアを握ったまま、しかつめらしい顔をしてひとりごとを言っているような雰囲気があり、いろいろとぶっ壊されても壊れ方がほどほどに抑制されており、当然、無残な死体なども登場しない。きわめてぜいたくに作られた「お子様向け」映画である。
Tetsuya Sato