2010年 アメリカ/日本 85分
監督:原口智生
アイドルになる夢に破れた加奈子は故郷の尻小玉へ戻ると祖母が暴走する車に跳ね飛ばされ、祖母のいまわの言葉にしたがって加奈子は河童様を守る巫女となるが、暴走する車が河童様の祠を海に跳ね飛ばすと河童様が海中で活動を始め、上陸してきて暴走する車に乗っていた若者を殺害する一方、加奈子がそなえたきゅうりを食べ、加奈子がアイドル時代に歌って歌を聞いて跳ね踊り、加奈子は河童様となかよしになるが、そこへなにやら旧日本軍の妄想に取りつかれた一団が現われて加奈子をさらって秘密基地のようなところへ運び込み、くるくると駆け回ってすっかり狂っているところを見せつけながら加奈子を水陸両用兵士に改造しようとしていると加奈子を救うために天井をやぶって河童様が現われ、あれやこれやで基地は自爆用の核爆弾で吹っ飛ばされ、一転して都市に巨大怪獣ハンギョラスが出現して自衛隊の攻撃をことごとく跳ね飛ばして都市を破壊しているとそこへ巨大化した河童様が現われていわゆる怪獣プロレスがなべやかんの解説つきで始まって、ハンギョラスを倒した河童様が怒りに目を赤くして都市の破壊を始めると巨大化した加奈子が現われて河童様を怒りを鎮めて都市を救う。
監督は『さくや 妖怪伝』の原口智生。往年の国産怪獣映画になにやらオマージュを捧げているような気配ではあるが、自堕落なだけで品位を高めようというようなことはかけらほども考えていない。察するに破綻は前提であろうからとりとめのない内容についてはさしあたり置くが、演出のリズムは悪く、演技はほとんど学芸会で、往年の国産怪獣映画と比べてもミニチュアなどの水準は低い(戦車の挙動、リアプロジェクションの使い方、などには妙なこだわりが見えたけれど)。文化祭の自主製作映画といった仕上がりであり、金を取って見せるようなものではない。
Tetsuya Sato