2013年6月19日水曜日

アバウト・シュミット

アバウト・シュミット
About Schmidt
2002年 アメリカ 125分
監督・脚本:アレクサンダー・ペイン

ネブラスカ州オマハで暮らすウォレン・シュミットは永年勤めてきた保険会社を退職し、家で引退生活を開始する。とはいえそれは楽しいものではなくて、お別れパーティもひどく嘘臭いものであったし、たまたま通りかかったと称して古巣の会社を訪れれば若い者から邪険にされる、すでに42年連れ添った古女房は当然ながら婆さんに見えるし、年増になった自分の娘の結婚相手はどうしたってアホウにしか見えてこない。自分自身を振り返ってみれば、格別の業績を残したわけでもないし、他人に影響を与えるようなこともしていない。いったい自分の人生はなんであったのか、というようなことをウォレン・シュミットは考え始め、そういうところへフォスタープランに参加したりするものだから、日々の煩悶を偽りで装った手紙を会ったこともないタンザニアの少年に書き送ることになる。
なんとも渋い内容の映画で、ジャック・ニコルソンが老いを感じた瞬間に人間が味わう居心地の悪さ、そして悔恨と怒りを実に表情豊かに演じている。とはいえ、この名優の演技がなければかなり凡庸な映画であろう。


Tetsuya Sato