2013年6月26日水曜日

太陽に恋して

太陽に恋して
Im Juli.
2000年 ドイツ 100分
監督・脚本:ファティ・アキン

ハンブルク在住のダニエル・バニエは理科の教育実習生として教壇に立っていたが、生徒に舐められたまま夏休みを迎え、そのダニエル・バニエになぜか一目ぼれしているユーリは自分の露店にダニエル・バニエを呼び込んで太陽の指輪を売りつけ、恋人の出現を予言する。もちろん自分が出現するつもりであったが、タイミングが若干遅れたためにダニエル・バニエはたまたま通りがかったトルコ系の女性メレクに引き寄せられ、そのメレクがイスタンブールを目指して飛び立つと自分もトルコへ行くつもりになり、早速友達の車に乗り込んで南下を始めてヒッチハイク中のユーリを拾い上げる。ところが車はバイエルンで立ち往生し、そこから先はトラックをヒッチハイクして東へ進み、ドナウ川を進む船に密航して川に放り込まれ、旧ユーゴからやって来た怪しい美女に翻弄され、ブダペストではカーチェイスをし、パスポートがないのでルーマニア国境を強引に越えて車を盗み、盗んだ車を売り飛ばして別の車を手に入れると今度はその車の部品を売却しながらブルガリアを目指し、国境を泳いで渡り、ユーリに捨てられて謎のトルコ人に拾い上げられ、トルコの国境で悶着を起こし、それでも最後にはイスタンブールにたどり着く。
夏休み中のドイツ人が南下を始めるとたちまちのうちに頭のねじがゆるんで恐ろしいことを始める、という話のように見えたが、もしかしたら違うのかもしれない。全体に明るく楽しい感じに仕上がっていて、出演者がみな非常にいい顔をしているのが好ましい。『黒猫・白猫』のヒロイン、ブランカ・カティッチが成長した姿で顔を出しているのがうれしかった。旧ユーゴからやって来た女性ドライバーの役で、その車に貼られた"YU"のステッカーの左側には"EX"と大きく記されている。監督本人もルーマニアの国境警備隊員の役をやっていて、これもなんだかいい味を出していた。 

Tetsuya Sato