Wreck-It Ralph
2012年 アメリカ 101分
監督:リッチ・ムーア
ゲームセンターが閉店したあと、ゲーム機のキャラクターがゲームからゲームへ移動したり一杯やったりしたり、あるいはゲームの悪役たちが疎外感を抱えて集団療法などをしていると、疎外感をどうしても克服できない壊し屋のラルフが自分もヒーローになりたいという願望を抱いてヒーローのメダルを獲得するためにシューティング系のゲームへ出張してメダルを盗み、出張先のゲームの言わば「世界観」に巻き込まれながら空を飛んでレース系のゲームに不時着し、そこで出会った二頭身半の少女ヴァネロペにメダルを奪われ、メダルを奪ったヴァネロペは不具合付きのプログラムでラルフと同様に疎外感を抱えていて、問題を克服するために奪ったメダルをレースに出場するために使うので、ラルフはメダルを回収するためにヴァネロペに協力することになる。
2D日本語吹替版で鑑賞。新旧のゲームのグラフィックの特性がキャラクターのデザインや挙動によく現われていて、30年前のゲームのサブキャラは微妙にかくかくと動いたりするところはなかなかに楽しいし、後半の主要な舞台になる『シュガー・ラッシュ』の世界はキャンディー類の質感がよくできているし、クライマックスのレースはかなり迫力のある仕上がりになっている。とはいえ自己肯定や自己再確認を目的としたプロットはいささかという以上に手垢がついているように思えるし、そこへいたる対立関係も単純すぎて面白みを欠いている。特に30年前から動いているゲームのなかなら、もう少し馴れ合った雰囲気があってもよいのではあるまいか。さしあたりの破綻はないし、造形面ではおおむねにおいてよくまとめられてはいるものの、結果としては単純すぎて魅力を得るにはいたらないキャラクターがプロットを消化しているだけで、この101分は少々長く感じられた。