2013年3月25日月曜日

バッファロー・ソルジャーズ

バッファロー・ソルジャーズ
Buffalo Soldiers 
2001年 イギリス・ドイツ 98分
監督:グレゴール・ゴードン

ベルリンの壁が崩壊する直前の1989年の西ドイツ。シュツットガルトに駐屯するアメリカ軍の補給部隊ではレイ・エルウッド軍曹が補給品の横流しをして私腹を肥やし、トルコ人から手に入れたヘロインを精製してMPの売人に卸している。そうしていると妙に規則にうるさいリー曹長がいきなり着任し、何かとエルウッドに喧嘩を売ってくるのでエルウッドのほうでも曹長の娘をデートに誘い、それを見た曹長がまた怒り狂ってエルウッドの車を射撃練習の標的にする。
実話だという。ドイツ駐留のアメリカ軍の品行がとにかく悪い、という噂は90年代によく耳にした。いわゆる補給部隊もの、という分類も可能だが、ただ腐敗が横行するのではなく、そこへ麻薬がからむので事態はひどく険悪である。悪辣なエルウッド曹長がホアキン・フェニックス、冷酷なリー曹長がスコット・グレン、無能な大佐がエド・ハリス、という具合にキャスティングはかなり凝ったものになっていて、スコット・グレンの目の座った演技はもちろん不気味だし、ホアキン・フェニックスはいままで見たなかで一番いい。比較的短めな上映時間にしてはエピソードが盛りだくさんで、そのせいでいくらか消化不良な印象も否めないが、ヘロイン漬けの戦車兵たちがへらへら笑いながら戦車を暴走させるという世にも恐ろしい場面もあったりして、なかなかに楽しめる作品に仕上がっている。



Tetsuya Sato