2015年12月29日火曜日

トポス(61) ヒュン、ネロエとともに冒険の旅に出る。

(61)
 ヒュンとネロエは町に出て、そこで魔法玉の売人を探した。二人はいかがわしい気配が漂う通りに入っていった。看板がネオンのぎらつく光をまとって立ち並び、路上にうごめくひとの波を不気味な色に染め上げていた。客引きが声を張り上げ、薄物をまとった男女が観光客に媚を売り、誘惑に負けた男や女を次々と暗い場所に引き込んでいた。嬌声が上がり、怒声が放たれ、銃声がほとばしって硝煙の臭いをまき散らした。そこら中に銃を持った男がいた。どれもが密売組織の用心棒で、二つ以上の手榴弾を胸にぶら下げ、三つ以上の弾倉を腰につけ、自動火器を構えて野戦用の防弾ベストを身につけていた。用心棒たちは怪しい者に目をつけると路地裏に引きずり込んで身ぐるみを剥いだ。怪しい一団に目をつけると一人を誘拐して身代金を要求した。支払いを渋ると指を切り、それでも渋ると耳を削いだ。みかじめを払わない店には手榴弾を投げ込んで、抵抗する者は蜂の巣にした。ふと気がつくと路傍に死体が転がっていた。ふと気がつくと縄張り争いが始まっていた。銃弾が飛び交い、通行人が逃げ惑い、遠慮も会釈もなく爆発が起こり、巻き添えになった男や女が死体になって転がった。
「ああ」とネロエが息をもらした。強い悲しみを感じて唇を噛み締め、髪をなびかせて前に進んだ。

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