(54)
|
ピュンの目的は一つだった。ピュンは復讐を求めていた。裏切り者のヒュンにこの世の地獄を味合わせなければならなかった。親兄弟を皆殺しにして、親戚もはとこの果てまで残らず殺して、爪を一枚ずつ引っこ抜き、指を一本ずつねじ切ってから鼻と耳をそぎ落とし、皮を剥ぎ、肉をえぐり、腕と脚を切り落とし、性器をむしり取って口に突っ込み、最後に目玉をえぐってやろうと考えていた。
復讐を果たすためには、まずヒュンを捕えなければならなかった。ピュンは距離を置いてヒュンを追った。ヒュンが進んだあとには死体が点々と転がっていた。ときには距離を縮めて、間近から観察した。殺戮の現場も目撃した。あの剣はやばい、とピュンは思った。あの女は怖い、とピュンは思った。あの羊飼いもやっかいだ、とピュンは思った。捕えようとすればこちらが捕えられるか殺される。ピュンは方針を変更した。一気に片づけることにした。夜のあいだに先へ進んでヒュンの行く手に穴を掘った。穴の底に槍を立てて、草をかぶせて穴を隠した。物陰に隠れてヒュンを待った。固唾を呑んで待ちかまえた。ヒュンが来た。何も知らずに近づいてきて、落とし穴に足を乗せた。そしてそのまま通り過ぎた。ピュンは隠れ場所から出て落とし穴を見下ろした。首をひねって、落とし穴に足を乗せた。そのまま落ちていって串刺しになった。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
復讐を果たすためには、まずヒュンを捕えなければならなかった。ピュンは距離を置いてヒュンを追った。ヒュンが進んだあとには死体が点々と転がっていた。ときには距離を縮めて、間近から観察した。殺戮の現場も目撃した。あの剣はやばい、とピュンは思った。あの女は怖い、とピュンは思った。あの羊飼いもやっかいだ、とピュンは思った。捕えようとすればこちらが捕えられるか殺される。ピュンは方針を変更した。一気に片づけることにした。夜のあいだに先へ進んでヒュンの行く手に穴を掘った。穴の底に槍を立てて、草をかぶせて穴を隠した。物陰に隠れてヒュンを待った。固唾を呑んで待ちかまえた。ヒュンが来た。何も知らずに近づいてきて、落とし穴に足を乗せた。そしてそのまま通り過ぎた。ピュンは隠れ場所から出て落とし穴を見下ろした。首をひねって、落とし穴に足を乗せた。そのまま落ちていって串刺しになった。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.