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ピュンのことは忘れていたが、ギュンのことは覚えていた。青い魔法玉を見たときに、かすかな記憶がよみがえった。自分がいなければ、ギュンは何もできない男だった。自分が仕切ってやらなければ、ギュンには右も左もわからなかった。それなのにギュンは自分を裏切った。金を独り占めにした。だからあんなことになったのだ。刑務所にぶち込まれて、追われるはめになったのだ。
気がついたときには、ヒュンは復讐を求めていた。裏切り者のギュンにこの世の地獄を味合わせなければならなかった。親兄弟を皆殺しにして、親戚もはとこの果てまで残らず殺して、爪を一枚ずつ引っこ抜き、指を一本ずつねじ切ってから鼻と耳をそぎ落とし、皮を剥ぎ、肉をえぐり、腕と脚を切り落とし、性器をむしり取って口に突っ込み、最後に目玉をえぐってやろうと考えていた。
「俺は運命を受け入れている」とヒュンは叫んだ。「俺は世界を救う英雄になる。だから俺は邪悪な黒い力と戦うんだ」
ギュンを探さなければならなかった。青い魔法玉をたどっていけば、ギュンが見つかるはずだった。手がかりは予言者だ、とヒュンは思った。予言者を締め上げれば、ギュンが見つかるはずだった。それなのに、残らず殺してしまったのだ。一人くらい残しておくべきだったのに、一人残らず殺してしまったのだ。ヒュンは強い怒りを感じた。怒りのままに拳を握ってキュンの頬に叩きつけた。クロエの頬にも叩きつけた。
「なんだってんだ」キュンが叫んだ。
「このろくでなし」クロエが叫んだ。
「俺についてこい」ヒュンが言った。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
気がついたときには、ヒュンは復讐を求めていた。裏切り者のギュンにこの世の地獄を味合わせなければならなかった。親兄弟を皆殺しにして、親戚もはとこの果てまで残らず殺して、爪を一枚ずつ引っこ抜き、指を一本ずつねじ切ってから鼻と耳をそぎ落とし、皮を剥ぎ、肉をえぐり、腕と脚を切り落とし、性器をむしり取って口に突っ込み、最後に目玉をえぐってやろうと考えていた。
「俺は運命を受け入れている」とヒュンは叫んだ。「俺は世界を救う英雄になる。だから俺は邪悪な黒い力と戦うんだ」
ギュンを探さなければならなかった。青い魔法玉をたどっていけば、ギュンが見つかるはずだった。手がかりは予言者だ、とヒュンは思った。予言者を締め上げれば、ギュンが見つかるはずだった。それなのに、残らず殺してしまったのだ。一人くらい残しておくべきだったのに、一人残らず殺してしまったのだ。ヒュンは強い怒りを感じた。怒りのままに拳を握ってキュンの頬に叩きつけた。クロエの頬にも叩きつけた。
「なんだってんだ」キュンが叫んだ。
「このろくでなし」クロエが叫んだ。
「俺についてこい」ヒュンが言った。
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