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街道が森をくぐる場所にピュンは新たな罠を仕掛けた。足首の高さに縄を張って、縄に足がかかると吊り上げておいた丸太が振り子のように落ちる仕組みになっていた。丸太にはもちろん棘を植えた。ヒュンが近づいてきた。ピュンは罠を確かめた。吊り上げた丸太を見上げてうなずき、それからしゃがんで道の上の縄に軽く触れた。仕掛けは見事に働いた。棘を生やした丸太が凄まじい速さで降ってきて、一瞬でピュンを串刺しにした。垂れ下がった丸太に打ちつけられて息も絶え絶えになっていると、そこへヒュンがやって来た。横目に見たので顔をそむけた。
ピュンは痛むからだに鞭を打って森を駆けた。森を抜けると街道が川と交わる場所があって、そこに木造の橋がかかっていた。ピュンは橋に爆薬を仕掛けた。導火線を引っ張って、物陰に隠れてヒュンを待った。ヒュンが来た。ピュンは導火線に火をつけた。華々しく火花を散らして炎が走り、二メートルほど進んで消えた。ピュンは隠れ場所から飛び出して、もう一度導火線に火をつけた。少し進んでまた消えた。ヒュンが橋を渡り始めた。ピュンは導火線に火をつけた。消えるたびに火をつけた。気がついたときには橋に近づき過ぎていた。目の前に導火線を垂らした爆薬があった。炎が導火線を駆け上がり、壮絶な爆発が起こって橋とピュンを吹っ飛ばした。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
ピュンは痛むからだに鞭を打って森を駆けた。森を抜けると街道が川と交わる場所があって、そこに木造の橋がかかっていた。ピュンは橋に爆薬を仕掛けた。導火線を引っ張って、物陰に隠れてヒュンを待った。ヒュンが来た。ピュンは導火線に火をつけた。華々しく火花を散らして炎が走り、二メートルほど進んで消えた。ピュンは隠れ場所から飛び出して、もう一度導火線に火をつけた。少し進んでまた消えた。ヒュンが橋を渡り始めた。ピュンは導火線に火をつけた。消えるたびに火をつけた。気がついたときには橋に近づき過ぎていた。目の前に導火線を垂らした爆薬があった。炎が導火線を駆け上がり、壮絶な爆発が起こって橋とピュンを吹っ飛ばした。
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