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「邪悪な黒い力が南で勢いを増している」とエルフの長老が言った。「かつておまえがしたように、やつらはエルフを狩って魔法玉に変えている。よいか? おまえが罪を贖うことを望むなら、死を覚悟して南へ進め。さもなければ、いまここで死を覚悟するがよい」
「俺は運命を受け入れている」とヒュンが言った。「俺は世界を救う英雄になる。だから俺は邪悪な黒い力と戦うんだ」
長老はヒュンに剣を預けた。名もない剣だったが、あらゆる魔法攻撃を跳ね返す力を備えていた。クロエのショットガンはエルフの鍛冶屋によって改造された。弾の数が無限になり、念じるだけで弾道が変わった。キュンの杖も改造された。杖の先で地面を打つと半径三メートル以内の敵にランダムでステータス異常を引き起こした。
「これで準備は整った」と長老が言った。「ここですべきことは残されていない。いったい何を待っているのだ? 行って我らの敵を滅ぼすがよい」
クロエがショットガンの引き金を引いた。エルフの長老が吹っ飛んだ。エルフの女たちがいっせいに呪文を唱えてヒュンに炎や水を浴びせかけた。ヒュンが剣を抜いて宙を払うと、跳ね返された魔法が女たちを蒸し焼きにした。エルフの戦士たちが剣や弓を手にして駆け込んできた。キュンがすかさず躍り出て、杖の先で床を突いた。戦士たちは悲しみに浸り、立ったまま深い眠りに落ち、かと思うと怒りに飲まれて隣の仲間に襲いかかった。クロエがそこへ散弾を浴びせた。またしても死体の山ができあがったが、クロエの心は晴れなかった。
Copyright c2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
「俺は運命を受け入れている」とヒュンが言った。「俺は世界を救う英雄になる。だから俺は邪悪な黒い力と戦うんだ」
長老はヒュンに剣を預けた。名もない剣だったが、あらゆる魔法攻撃を跳ね返す力を備えていた。クロエのショットガンはエルフの鍛冶屋によって改造された。弾の数が無限になり、念じるだけで弾道が変わった。キュンの杖も改造された。杖の先で地面を打つと半径三メートル以内の敵にランダムでステータス異常を引き起こした。
「これで準備は整った」と長老が言った。「ここですべきことは残されていない。いったい何を待っているのだ? 行って我らの敵を滅ぼすがよい」
クロエがショットガンの引き金を引いた。エルフの長老が吹っ飛んだ。エルフの女たちがいっせいに呪文を唱えてヒュンに炎や水を浴びせかけた。ヒュンが剣を抜いて宙を払うと、跳ね返された魔法が女たちを蒸し焼きにした。エルフの戦士たちが剣や弓を手にして駆け込んできた。キュンがすかさず躍り出て、杖の先で床を突いた。戦士たちは悲しみに浸り、立ったまま深い眠りに落ち、かと思うと怒りに飲まれて隣の仲間に襲いかかった。クロエがそこへ散弾を浴びせた。またしても死体の山ができあがったが、クロエの心は晴れなかった。
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