Dragonslayer
1981年 アメリカ 108分
監督:マシュー・ロビンス
高齢の魔法使いウルリクのもとに旅人の一団が現われ、ウルランドの国を訪れてドラゴンを退治してほしいと依頼する。ウルランドの国ではカシオドラス王とドラゴンのあいだに協約があり、王は春分と秋分にくじ引きで一人の処女を選び出し、ドラゴンは処女を受け取るかわりに国を荒らすのを控えていた。このドラゴンはウルリクの記憶にあり、齢を得て意地悪になっていたのであった。すべてを予見していたウルリクは依頼に応じて腰を上げるが、そこへウルランドの騎士ティリアンが現われてウルリクに腕試しを挑み、ウルリクはティリアンに殺される。ウルリクのからだは火葬にされて灰となり、ウルリクの弟子ゲイレンは半人前であったが、ウルランドの一行を追って自分がドラゴンを倒すと宣言する。そして軽率にもドラゴンの巣に近づいて地崩れを起こし、ドラゴンを怒らせるので国は荒廃するのであった。問題を解決するためにはウルリクの従僕ホッジの言葉を思い出さなければならなかったが、ゲイレンは半人前の魔法使いである上に村の鍛冶屋の娘に夢中になっていて、だから解決は遅れるのである。
ドラゴンや魔法使いといった素材を余計な再解釈を抜きに扱い、良くも悪くも一定の世界に構築している。そしてその範囲では雰囲気や美術、衣装などは誉めるべきだが、実際のところくそまじめだという以上の取り柄はない。数少ないゴーモーションの作例ではあるが、ドラゴンの動きに格別感心はしない。メカニカルに頼りすぎであろう。主人公の半人前の魔法使いを演じているのはピーター・マクニコルで、つまり後のジョン・ケイジ(つまり『アリー・マイ・ラブ』でアリーが勤めている弁護士事務所のパートナー)である。知らなければただの面白みのない若者だが、『アリー・マイ・ラブ』を見てからこちらを見るとジョン・ケイジ流の法廷弁護のいかがわしさが半人前の魔法使いのいかがわしさに重なってちょっと面白い。
Tetsuya Sato