Renoir
2012年 フランス 111分
監督:ジル・ブルドス
1915年の夏、ルノワールの家にデデと名乗る娘が現われ、ルノワールはデデをモデルに裸婦像の製作に取りかかり、そうしていると前線で負傷した次男ジャンが休暇で戻ってくる。ドラマと言えるようなはっきりとしたドラマはない。きわめて精密に、かつ美しく再現されたレ・コレットを背景に画家ルノワールの晩年の様子を描き込み、創作過程も丹念に再現しながら不自然さを与えていないのは素朴にすごいと感じたし、ミシェル・ブーケ扮するルノワールのルノワールぶりもすばらしい。序盤ではカメラワークにやや単調さを感じたし、熟慮の結果なのか即興なのか、少々首をひねったところもあるものの、全体としてはたいへん心地よい映画に仕上がっている。中盤、戦争のむごたらしさがそこはかとなく吹き出してくるところは怖かった。
Tetsuya Sato