The Bay
2012年 アメリカ 84分
監督:バリー・レヴィンソン
チェサピーク湾では農薬、養鶏場からの鳥の糞、放射能などで深刻な海洋汚染が起こり、2009年7月4日、チェサピークワンに面している人口7000人弱の町クラリッジで住民多数が異常な発疹を起こして病院へ運ばれ、同時に異常な状態の死体が発見され、パニックが発生する、というプロセスを現場にいたメディアのカメラ、市民のカメラ、監視カメラ、車載カメラの映像などから再構成し、そこに事件を生き残ったレポーターが解説を加えるといういわゆるファウンドフッテージ物だが、「素材」の画像が「演出的な意図」にもとづいて「加工」されているし、語り口は舌触りが悪く、終盤ではさらに整理が悪くなる。なぜバリー・レヴィンソンがこういう題材を、という素朴な疑問は置くとしても、それなりに予算がかかった寄生虫系パンデミックというのは珍しいし、設定などはよく考えてあるし、成長促進剤のせいで巨大化したワラジムシが人体を(つまり、そういう内容の映画)、という描写もけっこうすごいので、監督が時間を無駄にしやすいバリー・レヴィンソンでなかったらかなりいけたのではないか、という気もしないでもない。
Tetsuya Sato