The Sum of All Fears
2002年 アメリカ 124分
監督:フィル・アルデン・ロビンソン
トム・クランシーの『恐怖の総和』の映画化。原作者のトム・クランシー自身が製作総指揮に名を連ねている。ネオナチが小型核爆弾をアメリカに持ち込んでボルティモアで爆発させる。するとアメリカはロシアからの攻撃であると誤認し、米ロは事実上の戦争状態へと突入するが、CIAの分析官ジャック・ライアンの活躍でテロであることが立証され、核戦争は回避される。
重量感のある映像で丁寧に作られた映画であり、主として作りの生真面目さによって見終わった後の好感度が高い。長官(モーガン・フリーマン)に振り回されるジャック・ライアン(ベン・アフレック)、どことなく憮然としているジョン・クラーク(リーヴ・シュレイバー)というキャラクター造形もよくできていて、実は原作よりもよほどよいのではないかと思えるほどである。もちろん核兵器の調達方法が不自然だとか、アメリカの政府高官がいくらなんでもアホすぎるとか、ロシアの大統領がグルジア人のように見えるとか、あのCIAはどうしてあんなに層が薄いのか、とか、そもそも町を吹っ飛ばす必然性があったのか、とか、トム・クランシー独特の臭気を含めていろいろと首を傾げるところはあったけれど、全体を通して見ればそれほど悪い映画ではない。
Tetsuya Sato