Transformers
2007年 アメリカ 144分
監督:マイケル・ベイ
いわゆる『トランスフォーマー』の大作映画化。人類抹殺をたくらむ悪い金属生命体と、その悪い金属生命体とそもそも敵対関係にある良い金属生命体が、前者はおもに兵器類に偽装して、後者はスポーツカーや働く自動車に偽装して地球に現われ、ロボットにトランスフォームして激突する。
主眼はもっぱら絵作りにあり、ストーリーは必ずしも重要ではない。
で、冒頭、カタールの基地でMH-53がいきなりトランスフォームするところから最後の市街戦にいたるまで、絵はとにかく面白い。金属生命体が変身していく様子が丁寧に作り込まれていて、これが相当な速さで動くのに目にはきっちりとプロセスが見える、という特殊効果とカメラワークの視覚的なバランスの良さに驚かされた。子供のおもちゃを徹底して大人のおもちゃに変換して、それをリアルにメカメカしく描写する、というところできわめて趣味的な世界が展開し、そのプロセスにいちいち厚みがあるので、何度見ても飽きてこない。
必要最小限のストーリーにはそこそこにユーモアが盛り込まれ、人間側の登場人物は大統領よりも偉そうな国防長官役のジョン・ヴォイトを除くと全体に身も蓋もなく、主人公の高校生はまず下半身で生きているし、その両親はこっけいなほど退屈だし、家に乗り込んで来る政府の秘密組織セクター7(フーバーダムに1930年代からの秘密基地が)のエージェントはジョン・タートゥーロで、間抜けな悪役をあきらかに楽しんでいる。これは悪くない。ところでAC-130(カタールで105ミリ榴弾砲を撃っていたガンシップ、連射のほうは40ミリ機関砲だと思うけど)って、もしかしたら映画初登場であろうか。
Tetsuya Sato