2014年8月16日土曜日

永遠の0

永遠の0
2013年 日本 144分
監督:山崎貴

祖母松乃の葬儀で祖父賢一郎が号泣するのを見た佐伯慶子と健太郎の姉弟は賢一郎が実の祖母ではなく、母親清子の父親が太平洋戦争で戦死していることを知って実の祖父宮部久蔵について調べることに決めて祖父が所属した海軍航空隊の生存者に話を聞いてまわる。
百田尚樹の原作は未読。素材自体は可もなく不可もなく、おおむねよくまとまっていて、大衆向けの戦記の空白をほどよく埋めているように見える。ただ正直なところ、いちいち情緒に流れるところがわずらわしい。出演者はみないい仕事をしているし、美術、衣装、所作などは非常によくできていると思う。しかし映画は体裁だけで、創意がまるで感じられない。ダイアログは無駄が多く、演出はテンポが悪い上に観客の足元を見て情緒に流せばいいと思っているのか、素材にリアリティを与えようとしていない。アニメクオリティのCGにははっきり言って閉口した。空戦シーンも説明的なだけで、飛行機が飛んでいるようには見えてこない。 


Tetsuya Sato