2014年1月6日月曜日

Mr.ウッドコック-史上最悪の体育教師

Mr.ウッドコック-史上最悪の体育教師
Mr. Woodcock
2007年 アメリカ 87分
監督:クレイグ・ギレスピー

ジョン・ファーレイは母親を愛する肥満児で体育教師のジャスパー・ウッドコックから散々にいじめられていたが、やがて成長して自分の過去を克服し、そのことを人生指南の本に書いたところ、これがベストセラーになり、故郷の誇りともなったため、トウモロコシしかない田舎町へ13年ぶりに帰郷すると、愛する母親は体育教師のジャスパー・ウッドコックと恋愛関係にあり、事実を知ったジョン・ファーレイの頭には克服したはずの不快な過去が蘇り、母親と体育教師のジャスパー・ウッドコックとの関係を破壊しようと画策を始めるが、つまるところ、体育がだめな人間と体育をこなせる人間とで価値観が二分されているというようなところに話は落ち着き、双方のあいだに立った壁は根性で克服されるのである。
十代の頃に体育をさぼったひとが反省を込めて脚本を書いたような雰囲気がある。ビリー・ボブ・ソーントンの体育教師ぶりは相当に様になっているし、出版業界とかかわる不快さも含め、細部の描写もそれなりに充実しているが、結局、本当に悪かったのは自分で、恐るべき体育教師も実は人間味のある立派な教師ということになってしまう。体育が苦手だった人間が自分の経験に照らして考えれば、生徒を虐待する粗野な体育教師は生徒を虐待する粗野な体育教師であって、そんなことにはならないはずである。ということで、同じような田舎町の話であっても『ミセス・ティングル』のようなことにはもちろんなっていかない。


Tetsuya Sato