2014年1月11日土曜日

汚れた顔の天使

汚れた顔の天使
Angels with Dirty Faces
1938年  アメリカ 98分
監督:マイケル・カーティス

町の不良少年ロッキー・サリヴァンは貨車から万年筆を盗もうとして警官に捕まり、少年院に放り込まれ、再犯を重ねるうちに新聞の一面を騒がせるギャングとなる。大物ギャングとなったロッキー・サリヴァンは三年の刑を受けて服役することになり、その間の留守を弁護士フレイザーに預けるが、そのフレイザーは町のボス、キーファーの配下となって出所してきたロッキー・サリヴァンの抹殺をたくらむ。一方、ロッキー・サリヴァンはかつての不良仲間ジェリー・コネリーと十五年ぶりの再会を果たすが、ジェリー・コネリーは神父となって町の不良少年に更正の道を開こうとしており、不良少年たちがロッキー・サリヴァンを英雄として迎えるのを見て不安を抱く。英雄扱いされて悪い気のしないロッキー・サリヴァンはフレイザーとキーファーを脅して自分の取り分の回収にかかり、相手の弱みを握ることにも成功していよいよ大物のギャングとなるが、その有様を見たコネリー神父はロッキー・サリヴァンに宣戦を布告、社会正義を掲げて町の腐敗を追求し、ギャングたちを追い詰めていく。
ジェームズ・キャグニー扮するロッキー・サリヴァンとパット・オブライエン扮するジェリー・コネリーの友情、ハンフリー・ボガート扮するフレイザーとジョージ・バンクロフト扮するキーファーの暗躍、さらにそこへ町の不良少年の心情が細かに描きこまれ、ジェームズ・キャグニーとアン・シェリダンとのロマンスもいちおうは織り込まれ、多様な顔を持つドラマが90分強に詰め込まれている。マイケル・カーティスの演出はきわめてシャープでテンションが高く、ジェームズ・キャグニーは自分なりに筋の通った悪党を、パット・オブライエンは友情と義務のあいだで苦悩する聖職者を熱演し、この両者の熱演の結果、ジェームズ・キャグニーの最後の場面は猛烈に重い。ハンフリー・ボガートの裏切り者ぶりも忘れがたい。 




Tetsuya Sato